英作文や英会話の練習をしていると、

この部分をもっと強く伝えたいのに、平凡な言い方しかできない
と感じることはありませんか? 英語でも「強調」は重要な技術のひとつです。強調構文(cleft sentence)を使うと、「誰が」「いつ」「どこで」など、伝えたい部分を明確に際立たせることができます。
この記事では、そんな強調構文の基本構造とその使い方、通常文からの書き換え方まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
強調構文の基本構造
強調構文の基本形は以下の通りです。
It is(was) + 強調したい語句 + that(who) + 残りの文
この構文を使うと、通常文では表現しにくい「焦点」を明確にできるのです。 たとえば、次のように書くことができます。
通常文:I met her at the station yesterday. (私は昨日、駅で彼女に会った。)
強調構文:It was at the station that I met her yesterday. (私が昨日彼女に会ったのは駅だった。)
このように、”It is/was” に続く語句が、文の中で特に強調されている部分です。
主な強調対象
この構文で強調できるものは多くあります。
人:It was Tom who helped me.(私を助けてくれたのはトムだった。)
物:It was this book that changed my life.(私の人生を変えたのはこの本だった。)
場所:It was in Kyoto that I was born.(私が生まれたのは京都だった。)
時間:It was last night that we had dinner together.(私たちが一緒に夕食を食べたのは昨晩だった。)
「人」を強調する場合、誰がその動作を行ったのかを明確に示すことができ、聞き手の関心をその人物に向けさせることができます。
「もの」を強調する際は、何が重要だったのかを際立たせ、話の中で物の存在感を強めることができます。
「場所」を強調する場合は、どこで出来事が起こったのかを明確にし、場面の焦点を明らかにすることができます。
「時間」の強調では、いつ行動がなされたかを強調することで、文の中の時系列や背景がよりはっきりと伝わります。
このように、強調構文は文の内容を変えるのではなく、注目させたい部分を際立たせるために使われる非常に便利な表現方法です。日本語における「〜なのは〜だ」といった語順と似ており、感情や意図を明確にする効果があります。
元の文からの書き換え
強調構文をマスターするためには、「普通の文」から「強調構文」へ変換できる力が大切です。 以下に例を示します。
通常文:She made the cake.
強調構文:It was she who made the cake. (そのケーキを作ったのは彼女だった。)
通常文:I saw him in the park.
強調構文:It was in the park that I saw him. (私が彼を見たのは公園だった。)
通常文:We discussed the problem yesterday.
強調構文:It was yesterday that we discussed the problem. (私たちがその問題を話し合ったのは昨日だった。)
強調構文と形式主語構文の違い
一見すると、「It is ~ that …」という形をとる点で、強調構文と形式主語構文は似ているように見えます。しかし、両者は文の構造も、意味も、目的もまったく異なる文法事項です。
強調構文は、ある文の一部を目立たせて読者や聞き手の注意を引くことを目的としています。「It is ~ that …」の構造は、元の文の特定の要素(主語、目的語、場所、時間など)を取り出して前面に出すことで、「何が重要なのか」「何を伝えたいのか」を際立たせる役割を果たします。
この構文は、文の意味を変えずに、表現の焦点を変えるために使われます。
一方、形式主語構文は、主語になるはずの長い句や節を文の後ろに置き、代わりに「It」を文頭に置くことで、文全体のバランスを良くしたり、言いやすくしたりするための構文です。
形式主語構文では、「It」は本来の意味を持たず、あくまで「形式上の主語」として使われます。そのため、構文の目的は「強調」ではなく、「文構造の調整」や「自然な語順の実現」にあります。
It is important to study every day.
毎日勉強することは大切だ。
解説
この文では「to study every day(毎日勉強すること)」が本来の主語です。しかし、いきなり長い不定詞を主語に置くと文が重くなり、英語として不自然に感じられることがあります。そこで「It」を仮の主語として先に置き、本来の主語である不定詞句を文の後ろに回しています。この構造によって、文章がすっきりと自然になります。
したがって、見た目が似ていても、この2つの構文は、目的も焦点も異なる点をしっかりと理解しておくことが大切です。
練習問題
以下の文を強調構文に書き換えてみましょう。
1. Mary wrote the report.
2. I met John at the airport.
3. They finished the project last week.
解答
1. It was Mary who wrote the report.
2. It was at the airport that I met John.
3. It was last week that they finished the project.
まとめ
強調構文は、あなたの伝えたい「焦点」をグッと明確にしてくれる、英語表現の便利ツールです。 英作文でもスピーキングでも、ちょっとしたニュアンスの違いを伝えられるようになると、表現の幅が一気に広がります。 最初は難しく感じるかもしれませんが、基本構造を理解し、練習を重ねればきっと使いこなせるようになります。
焦らず、着実に。あなたの努力は必ず実を結びます!一歩一歩、自信を持って進んでいきましょう。
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